はじめに
山口県は3方を海に囲まれています。北西側は日本海、南側は瀬戸内海、そして両者をつなぐ西側の関門海峡です。この3つの海は、それぞれ異なる特性を持ち、豊かな漁業資源を育んできました。今回の講座では山口県の海で大半を占める日本海と瀬戸内海の漁業資源、特に底魚類について解説し、おいしい魚がなぜ多いのかを紐解きたいと思います。
さらに、資源管理を取り入れながら、おいしい魚をより多く得る方策についても考えてみたいと思っています。
日本海の漁業資源
日本海は最も深い所が約3800mで地球の海全体の平均水深とほぼ同じです。日本海は2層構造になっていて、西の端にある対馬の東西から暖かい対馬暖流が流れ込み、水深100m位まで分布します。200m以深には日本海固有冷水という3℃以下の非常に冷たい水が古くから貯まっています。山口県の底曳網漁業は暖かい対馬暖流の影響する海底にいる魚を多く利用しています。キダイ、アカムツ、キアンコウ、ムシガレイ、ヤナギムシガレイなどの漁獲量はいずれも全国屈指です。これは日本海の暖流系底魚類が山口県沖に集中しているという、絶好の条件に恵まれているためです。
瀬戸内海の漁業資源
瀬戸内海は日本海と異なり、浅くて狭い海です。ここで獲られる魚は沿岸性で古くから利用されてきたなじみ深い種になります。カタクチイワシ、マダイ、サワラ、マナガツオ、ハモやクルマエビが代表格です。浅くて、古くから漁獲さていれるため、トラフグやマナガツオのように乱獲により資源が枯渇してしまった魚種も見られます。
山口県の魚はなぜおいしい
魚のおいしさは、どう獲り、どう扱い、どう調理するかで大きく変わります。山口県の漁業者は魚の扱い方を良く知っています。また、消費者もそのおいしさを知り、需要が大きいため、おいしい魚が全て大都市へ流出することなく、地元にも出回ります。
おいしい魚をもっと食べたい −資源管理の重要性−
資源管理は魚の獲り方を改善して、魚を増やそうという考え方です。一般に若齢の小型魚は身が柔らかく、おいしくないため、低単価です。獲り方を工夫することで、大型でおいしい魚を増やすことができ、漁業者にとっては低単価問題の解消に繋がります。
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