環境にやさしい漁船〜バイオディーゼル燃料とPM低減技術〜 |
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水産大学校 海洋機械工学科
教授 前田 和幸 |
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1.漁船による大気汚染の現状
- 漁船を動かすには燃料が必要であり、燃料の燃焼により地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)や酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)が大気中に放出されます。また、呼吸器系の疾患の原因となる粒子状物質(PM)も大量に放出されます。
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2.バイオディーゼル燃料
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バイオディーゼル燃料(BDF)は、地球環境にやさしいバイオマスエネルギー(カーボンニュートラル)のため、温室効果ガスである二酸化炭素排出量を削減でき、また、燃料油が生分解性の特徴をもつことや硫黄分を含まないことからも軽油の代替燃料として注目されています。
水産大学校では、バイオディーゼル燃料の燃焼特性を明らかにするとともに、実験室に設置されたエンジンと実験実習艇“紺碧”を用いて、この燃料を漁船で使用した場合の環境改善効果と問題点を明らかにしました。 |
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3.PM低減技術
PMは、主にSoot(炭素)、SOF(凝縮した炭化水素)、Sulfate(硫化物ならびに吸着された水)から成る粒子状物質(PM:Particulate Matter)で、ヒトや動物の呼吸器系に健康被害をもたらす原因とされており、早急に排出実態を把握するとともに、低減方法を検討する必要があります。水産大学校の内燃機関研究室では、漁船用PM低減装置を試作して、その効果を検証しました。
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