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  公開講座

第13回水産大学校公開講座
ポスター画像
日時:
平成20年11月22日(土)13:00〜14:30
テーマ:
だれが獲る?明日のさかな
ー燃油高騰や「食」の不安が広がる中でー

プログラム
揺らぐ「食」ー水産物の安全・安心と生産者の挑戦ー
いま漁業が直面する危機と将来への対応



※所属・職位・学位は、当時のものを掲載しております。
揺らぐ「食」ー水産物の安全・安心と生産者の挑戦ー
水産大学校 水産流通経営学科
助教 副島 久実

1.揺らぐ「食」

 今、私たちの「食」を取り巻く状況が、大きく揺らいでいます。産地偽装問題、農薬・殺虫剤検出事件、O-157問題などが相次ぎ、私たちの「食」への不安が非常に高まっています。揺らぎの内容は、安全性問題だけではありません。大手スーパー主導による全国隅々までの効率主義の流通によって、大量で、かつ等規格の魚でなければ食料として流通されなくなり、おいしく食べられるはずの多くの魚が「規格外魚」として養殖の餌に回されたり、棄てられたりしています。消費の側面をみても、日本人の魚離れが指摘され、「多様な魚を色々な食べ方で食す」という日本の食文化が崩壊の危機にあるのではないかといわれています。さらに、海の環境問題も深刻化しています。

規格外魚

サイズがバラバラだったり、ロットが揃わなかった魚の多くは「規格外魚」となってしまいます。

2.生産者と消費者の乖離

 グローバル化が進行し、私たちは、世界中の様々な水産物を、いつでも、安く、簡単に手に入れることができるようになりました。切り身や加工品が増え、とても便利になりました。しかし一方で、消費者と生産者の距離は大きく隔離してしまいました。その結果、誰がどのように獲ったかわからない魚、姿も形もわからない魚を食べ、漁業や生産のあり方に無関心になっている消費者が増えています。安全性を強く求めながら、同時に、安さ・便利さもまた強く求めてしまいがちです。魚を提供する側も、消費者の姿が見えにくくなっているだけでなく、魚を単なる「商品」(=モノ)としか見ず、企業の論理や経済効率主義の中で、安全性よりも低コストや販売のし易さを重視させてしまいがちな状況が広範にみられます。

3.生産者の挑戦と私たちに出来ること

 こうした状況の中で、魚をただ獲って出荷するだけでなく、安全・安心にこだわった獲り方や流通に取り組もうとする生産者や流通業者、生産物に自分たちの「思い」や「ストーリー」をも付加して消費者に届けようとする生産者の挑戦が始まっています。このような事例をいくつか紹介します。
 私たち消費者も、自分たちの食生活や消費パターンについて見直し、水産物を単なる「商品」として見るだけでなく、その魚が食卓に昇るまでに関わった人々や地域に思いを馳せてみませんか。

漁村女性グループによる加工販売活動

地域の魚を大切にしたいとの思いから、漁村女性グループによる加工販売活動が各地で活発化しています




いま漁業が直面する危機と将来への対応
水産大学校 水産流通経営学科
准教授 板倉 信明

今回お話したいのは、

第一に、山口県漁業の危機が進行中であること
第二に、その危機に対して漁業者がどのような対応をしているのか

という二つのことです。
 ここでいう「危機」とは、食べる魚が明日にも無くなるという意味ではありません。
漁業を担う人達の暮らしが苦しいために、多くの漁師さん達が毎年減少しています。そのため、この「危機」とは将来のさかなを獲る人がいなくなるかも知れない、という意味です。
 こうしたお話によって、1.危機の深刻さや、2.その危機を回避するために漁業者が行っていること、そして3.さかなを食べる人達に期待されること、などについて関心を向けるきっかけを提供できればと考えています。

1.山口県漁業の特徴

(1)1人で行う漁業者が多いこと(=小規模な漁業経営体の多さ)
(2)漁獲金額の小さな漁業者が多いこと(=零細性が強い)

2.山口県漁業の危機

(1) 漁業者の高齢化が進み、若い人が少なくなっている
(2) 漁獲量や販売金額が減少している
(3) さかなを獲る人の不安が拡大している
原因
1.燃油価格の高騰
2.経営の苦しさの増大
         など
   
休漁により
閑散とする漁港

燃油高騰に伴う休漁により
閑散とする漁港:2008.6.19

3.これからも漁業を継続していくために

(1)漁業者が取り組んでいるいくつかの活動を紹介
(2)さかなを食べる人(=消費者)に望まれること