食品科学科開講の科目概要 (平成20年度入学生用ですので、現在とは若干異なります。)

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科目 開講時期 
必修・選択
授業概要
魚餐の科学と文化 1年 前期 必 水産食品科学を学び始めた学生への動機付け授業として、水産食品に関連する産業・文化・歴史・人々の暮らし、並びに魚の捌き方・調理方法・市場のセリの仕方などについて、学外の専門講師からの講話と実践を通して学ぶ。
有機化学 1年 前期 必 水産物や食品は大部分が有機化合物で構成されている。有機化学は炭素含有化合物(有機化合物)の化学である。そこで有機化学の基礎知識として、有機化合物の名前の付け方、化学構造の平面的および立体的な書き方、物理的および化学的性質を学習すると共に、有機化合物の反応および反応機構も学習する。
基礎化学 1年 前期 必 物質の構成単位である「原子」の構造を正しく理解し、次いで複数の原子を含む「分子」を形作る様々な「化学結合」について身近な例をもとに学習する。最後に、自然科学における新たな統一単位系としての国際単位系について理解する。
化学実験 1年 後期 必 一般的な化学実験や分析実験、あるいは水産食品の品質検査等を行う上での基本操作法を学習する。実験レポートの作成法について学習する。
物理化学 1年 後期 必 水産食品に関する科目を学ぶ際に必要な、物質を巨視的な視点から捉える物理化学的方法や考え方について学習する。具体的には気体の状態特性、熱力学の基礎、物質の三態と状態図、溶液の性質(沸点上昇と凝固点降下、浸透圧)、化学反応速度、化学平衡(電離平衡、緩衝平衡)などについて、数式の展開方法も含めて基本的な考え方を学習し理解する。
分析化学 1年 後期 必 一般に、「化学分析」は、その目的により「定性分析」および「定量分析」に大きく二分される。今日、化学分析を行うにあたり、目的成分の成分量(常量から微量成分)によっては実験機器の使用限界はあるものの、精密機器を必要とせずに十分正確な結果が得られる定量分析法が常用されている。本科目では、誤差論の後に化学量論、ついで平衡論を学習することによって体系化された「定量分析」、具体的には「重量分析」および「容量分析」の基礎理論について学習する。
基礎微生物学 1年 後期 必 微生物の形態的特徴と増殖、そして色々な種類の微生物について学習する。
食品工学 2年 前期 必 食品産業を構成する食品製造業、食品流通業、外食産業の中で、食品製造業の際だった役割について理解を深め、食品製造・加工として特に重要な殺菌、蒸発・凍結・乾燥などの各操作について理解する。また、食品のテクスチャーに関連してゲル化、エマルジョン化などの界面現象と粘弾性挙動について原理的な事項を把握する。
生物化学 2年 前期 必 食品中の三大栄養素である糖質、タンパク質および脂質は、同時に生命体を構成する主要な物質である。この三大栄養素を中心として、その構造と代謝を把握する。したがって、本科目の履修により、2年次以降に開講される「食品化学」や「食品機能学」等、水産食品に関わる学理を理解するための基礎を学ぶ。?
分析化学実験 2年 前期 必 『分析化学』で履修した定量分析法の基礎理論を踏まえた上で、実際に重量分析ならびに容量分析(中和、酸化還元、沈殿およびキレート滴定)実験を実施する。すなわち、本実験を通して実験内容がどの理論の上に展開されているか、化学平衡がなぜ重要なのかを考えながら実験に取り組んでいただく。また、それらの応用例として我々の身近で観察できるテーマを取り上げ、実験に供することにより、定量分析法に対する理解をより深める。
微生物生態学 2年 前期 必 人が生きていく上で必要な基礎微生物学知識(感染症から体を守る生体防御システムと病原微生物),人と環境との係わりで必要な基礎微生物学知識(有害物質を分解する微生物とその利用法),食品衛生学に必要な基礎知識(微生物の耐熱性,温度,pH,湿度と微生物増殖速度との関係)を学習します。
生体触媒化学 2 年 後期 必 常に生体の恒常性を維持し、ひいては生命を支えているのは、生体触媒としての酵素である。本科目では、この酵素がふつうの化学触媒と異なる点について学ぶ。すなわち、本科目履修により、3年次以降に開講される「栄養生理学」や「食品機能学」等、水産食品に関わる学理を理解するための基礎を学ぶ。
機器分析 2年 後期 選 機器分析の役割は高感度、迅速化、省力化、微量試料の分析などの点で、益々重要になってきている。水産物及び食品成分の分離・分析には機器分析が不可欠である。そこで、分離・分析の装置・機器である薄層クロマトグラフ、ペーパー・カラムクロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、高速液体クロマトグラフ、可視・紫外線吸収スペクトル、赤外線吸収スペクトル、プロトン・カーボン13核磁気共鳴スペクトル、質量分析の理論と応用を学習する。
水産生物化学 2年 後期 選 陸上とは環境の大きく異なる水中に生息する水産生物は,多くの面で特異的な生理機能を有している。そこで水産生物化学では,水産生物,中でも魚介類や海藻の生体成分や代謝・機能に関する生化学・生理学的知見を,主にその特異性の観点から学ぶことにより,食品素材としての特異性を理解する。
発酵微生物学 2年 後期 選 呼吸と発酵の違いを学習し、鰹節や鮒寿司等の水産発酵食品やお酒・醤油づくりでの微生物の役割を学習する。
公衆衛生学 2年 後期 必 健康で文化的な生活をするために、個人衛生と公衆衛生は共に重要で不可分の関係にある。人を取りまく環境の変化は著しく、経済活動による物の移動や国際化による人の交流に伴う感染症をはじめ、食品衛生対策、少子・高齢化の諸問題、化学物質による環境汚染、廃棄物質の処理にかかわる対策、環境保全などの公衆衛生の実践活動は、広がりときめ細かな対策が求められている。このような現状を踏まえ、公衆衛生の第一線機関である保健所での実務経験の話を聴講しながら学習する。
食品化学 2年 後期 必 食品に含まれる成分・素材(炭水化物、脂質、タンパク質・アミノ酸、ビタミン等)について、その化学的性質とそれに基づく分類、および腐敗・劣化などの自然的化学変化、更には加工に伴う化学変化の基礎について解説し、水産食品の栄養・機能性、食品の衛生・安全性、食品の利用・加工に関する科目を学ぶための基礎知識を修得する。また、食品の色・味・香りに係わる成分の構造や性質について理解する。
?食品分析 2年 後期 必 水産食品に関わる研究者・技術者または営業技術職の基礎知識として必要な、食品成分の表示法を「食品栄養表示基準」で、また、分析方法を「日本食品標準成分表分析マニュアル」を通じて理解する。
食品高分子化学 2年 後期 必 タンパク質の構成単位、構造について学習する。植物、畜産、水産タンパク質の特性について学習する。魚類筋肉の死後変化と刺身など水産食品の品質との関係を学習する。魚肉タンパク質の性質とカマボコなど水産食品の物性との関係を学習する。
食品製造学実習 I 2年 後期 必 我が国の水産加工品の中で最大の生産量を誇る魚肉練り製品及びその中間原料である冷凍すり身の製造原理を理解し、装置を使い製造することを実習する。
食品物理化学実験 2年 後期 必 水分活性、粘度、酸アルカリ緩衝能、ゲル物性、及び分光光度計の測定法など水産食品に関係する物理化学的実験の原理を理解し、実験方法を修得する。
機器分析実験 3年 前期 選 機器分析は、違反食品添加物の検出などに役立っている。そこで、使用頻度の高い機器である、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、ガスクロマトグラフ(GC)、紫外・可視分光光度計を使って、食品添加物などの分析を学習する。
食品加工調査 3年 前期 選 食品加工施設や流通施設さらには加工残滓の処理施設等を見学する。
食品物理化学 3年 前期 選 水産食品の品質と関わりが深い水の物理化学的特性、加熱の物理化学、食品の食感の物理化学について学ぶ。
冷蔵・冷凍学 3年 前期 選 水産加工食品の保蔵に用いられている各種の冷凍機と冷凍貯蔵(冷蔵・冷凍)について学び、水産加工品の保蔵方法について理解を深める。
食品加工技術 3年 前期 必 食品工学の基礎である単位操作技術を学習し、実際の食品製造において用いられている多種多様な加工技術を理解する。
食品製造学 3年 前期 必 食品製造学では,食品製造原料としての水産生物の特性、及び水産生物を食品製造する場合の基礎原理と製造技術について学習する。
食品分析実験 3年 前期 必 食品分析、分析化学、分析化学実験で学んだ知識・方法を用い、食品、特に水産食品に含まれる一般成分を分析する技術を実際に手を動かして習得する。また、水産食品に含まれる一般成分の割合の特徴を知ることにより、食品としての機能性を理解する。
食品保蔵学 3年 前期 必 魚介類は短時間のうちに鮮度が低下するため、鮮度すなわち品質評価が重要な課題となる。そこで、水揚げ後から調理・加工前までの魚介類を対象に、貯蔵中における化学成分、物性および微生物の変化から魚の品質とは何かを考える。更に、乾燥や塩蔵など加工技術、低温貯蔵技術や包装技術が水産物の品質にどのように関与していくのか学習する。
生物化学実験 3年 前期 必 生物化学・水産生物化学ほかの科目でこれまでに習得した知識を実際に自ら確認するため、鮮度の異なる魚介類の揮発性塩基性物質や貝類の糖質を定量する方法、あるいは酵素活性を測定する方法を習得する。
海洋天然物化学 3年 前期 選 人類は古来,動物,植物,微生物などが生産する物質を食品,薬品,毒,香料,染料などとして利用してきた。これら天然物由来の化合物の構造,機能,分布,合成などを扱うのが天然物化学であり,その中でも海洋生物由来の化合物を扱うものを海洋天然物化学という。本講義においては水産生物由来の生理活性物質,つまり,毒,生理および行動制御物質やその他水産生物に特有な成分,そして海産食品の呈味成分と香気成分などについて学び,その多様性を知る。
栄養生理学 3年 前期 必 ?高齢化社会が到来し食品の健康機能性(三次機能)に関する関心が高まっている中で、食品に関わる研究者・技術者のみならず営業職においても基礎知識として、栄養成分がヒトの体内でどの様に機能性を発揮するかの理解は重要である。水産食品中の栄養成分の機能を理解するために、ヒトの体の仕組みを概説し、食品成分がヒトの体内でいかに利用されていくか、その過程でヒトの体はどのような仕組みで対応するかという生理メカニズムについて理解する。また、病態時の栄養・生理について理解する。
魚餐とビジネス 3年 前期 必 本科目は水産人としての職業人意識を高めるための授業である。水産界で働く人達の生の体験談を聞くことにより、水産業会が抱える問題点や未来の可能性を理解する。
生物無機化学 3年 前期 必 ?近年、複雑な生命現象が「化学」の言葉で説明できるようになってきている。 特に微量元素についての知見は次第に増え、生体におけるその生理的機能と発現の機構が明らかにされつつある。本科目では、このような学際領域を扱う学問体系として誕生した「生物無機化学」について理解を深めるとともに、初めに生物と微量無機元素との”かかわり”を地球化学的視点から概観し、次いで栄養学的視点から生体内における種々の微量生体関連元素の機能等について概略する。
食品衛生学 3年 前期 必 ?食品の不注意な取り扱いによって発生する食中毒とその防止法について学びます。また食品の安全を確保するために制定されている法令について学習する。
インターンシップ 3年 全期 選 保健所や企業等において就学体験を行い、実社会における技術者の役割や仕事などを理解する。
HACCP 3年 後期 選 安全な食品を製造する管理方法のHACCPについて、従来の方法との相違点、一般衛生管理そしてHACCP計画の手順や危害分析について理解し、水産加工食品についてのHACCPを学習する。
水産伝統食品科学 3年 後期 選 昔の人が水産物をどうして食べていたかという興味だけでなく、水産伝統食品は先人の知恵が詰まった有用な食品と言う事ができる。ここでは、日本だけでなく外国にも目を向け、水産伝統食品が出来た背景から種類、分布、現在に至るまでの消長を知り、最近の水産伝統食品の新たな展開について学習する。
未利用生物資源学 3年 後期 必 水産分野における加工残渣などの未利用の生物資源、または、地球環境内の一つである深海の資源について学び、その再利用や有効利用についても理解を深める。
洋上鮮度管理実習 3年 後期 必 練習船の船上において、水産物の水揚げを行い、漁獲物の処理方法(ハンドリング)と鮮度判定方法等を修得する事により、洋上における鮮度管理の実際を体験する。
遺伝子工学 3年 後期 必 遺伝子工学の手法が、食中毒細菌の検出、水産食品原料魚種鑑定、水産育種等の水産食品分野に応用されつつある。また、大豆等の遺伝子組換え食品が水産食品の副原料として用いられる。本講義では、遺伝子操作の基本を学習し、これらの水産分野への応用を理解する。
微生物学実験 3年 後期 必 微生物は、海水、工場、水産原料さらには作業者の手指など、あらゆるところに存在し、水産食品の腐敗や食中毒の原因となる。また、発酵食品では微生物を有効利用している。この実験では、微生物を理解し、食品衛生学実験を行うのに必要な、無菌操作、器具の取扱い、滅菌、培養、顕微鏡観察、性状検査技術を修得する。
食品衛生学実験 3年 後期 必 食品衛生において必要な滅菌方法や各種衛生細菌の検査技術を修得する。
食品衛生管理基準 3年 後期 必 水産物を中心に、食品添加物などの使用基準と食品表示について学習する。
食品機能学 3年 後期 必 食品の機能(働き)は一次機能(栄養性),二次機能(嗜好性)および三次機能(生体調節機能)に分けられる。生活習慣病の増加と高齢化の進んだ現代社会においては,食品による健康増進や疾病の予防が重要になってきている。そこで本講義では,主に食品の三次機能について学び,優れた水産食品の開発に役立てる。
セミナー 3年 後期 必 卒業研究指導教員の下で、水産食品に関連する分野から特定のテーマを選んで、これに関連する英語文献を読んで、テーマを解決するうえで必要な専門知識と解決方法を学ぶ。
食品製造学実習II 3年 後期 必 水産加工工場で、安全な水産食品を製造できることを目指し、マグロ油漬缶詰を製造しながら、一般衛生管理事項およびHACCP計画を実践する。
食品製造学実習III 3年 後期 選 水産加工食品を実際に製造し、種々の加工食品の製造工程・製造技術の特性を理解する。また、食品の機能性は材料や素材に含まれる機能性成分に由来する。機能性を測定する実験を行ない、機能性に関するデータがどのようにして取得されるか、機能性をうたった製品を開発するためにはどのようにすれば良いかについて理解する。
卒業論文 4年 通年 必 食品加工利用学、食品機能学、食品安全学の分野で、水産食品に関する克服すべき技術的問題をひとつ選び、1年にわたり文献調査や実験、さらには実験結果についての指導教員との議論により答えにたどり着くまでの過程を実習する。

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