シーフードショー大阪への出展

食品機能学講座 山下倫明


 西日本最大級の食材の見本市としてシーフードショー大阪が,大阪南港のATCホールで2019年2月20日から21日まで開催されました。国立研究開発法人水産研究・教育機構のブースにおいて,現在実施中の血合肉の高付加価値化プロジェクトの研究成果を発表しました。

 マグロ類の血合肉(ちあいにく)は、回遊魚の持続的な遊泳に使われるどす黒い赤色を示す筋肉です。刺身用の冷凍マグロ工場で産出される副産物なので高鮮度の材料ですが、解凍後の鮮度低下が速く、色や臭いが悪いので従来食用に使われてきませんでした。生臭い臭気を取り除く技術を開発することによって、新規抗酸化成分セレノネインを含有するすり身素材化に成功しました。マグロすり身を原料に用いて,ハンバーグやナゲット,コロッケなどの加工品を開発しました。卒論生が試作品を作ってくれました。

 また,高鮮度の血合肉を水晒したのち,タンパク質を加熱除去することによって、セレノネインを高含有するエキスを試作しました。動物・細胞を用いる安全性評価試験によってこのセレンを含有するエキスは無毒であることが確認されました。このエキスを用いて抗酸化能や生活習慣病予防効果を現在検証しています。セレノネインを添加したプリンやドーナッツ,焼き菓子を試作しました。

 こうして,わずかに魚の風味がある食品がいろいろできました。このような食品にはセレノネインが100グラム当たり,10から30マイクログラム程度含まれています。現在,セレノネインによる抗酸化に関わる健康機能性を研究中です。

ハンバーグ

ナゲット

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