「洋上鮮度管理実習」

2015年5月28日 掲載


 平成27年5月14日(水)から20日(水)まで、食品科学科3年生48名が洋上鮮度管理実習を行いました。この実習は食品科学科で唯一の「乗船」実習です。今年も昨年同様、本校練習船天鷹丸にて下関〜長崎〜下関の航海を行い、洋上での魚の鮮度管理実習、および長崎市停泊中には水産関連施設の見学を行いました。

 5月14日(1日目)
 今日からいよいよ実習開始です。全員スーツ姿で船に乗り込みます。午後からは乗船式が行われ、この日は下関に停泊。これから一週間、船内での集団生活です。

 5月15日(2日目)
 快晴のさわやかな天候の中、多くの人に見送られ、下関から長崎に向けて出港しました。


5月16日(3日目)
 船は昨晩長崎県の松浦市沖に到着。この日は実習の一番大きな目的である、船上でブリの鮮度管理実習を行う日です。朝からあいにくの雨で朝別科のラジオ体操は中止となりましたが、8時頃には雨もやみ、予定通り実習を開始しました。実習では船上に設けた水槽からブリを取り上げ、3通りの方法でしめて、体温、色、硬直の度合いなどを継時的に測定し、しめ方と鮮度の関係を学びます。



【体重測定。船上は揺れるので、吊り下げ式の秤で測定します。】


【マンセル表色系を用いた色の測定】

 最後の測定は19時過ぎに終了。ちょうど日の入りの時刻と重なり、海に沈むきれいな夕日も見ることができました。



5月17日(4日目)
 昨夕松浦を出発した船は長崎港に向かって順調に運行中。気温もちょうど良く、すがすがしい朝です


【甲板で朝別科のラジオ体操】

 午前中に昨日の測定の続きの測定を2回行い、鮮度測定は無事終了。午後からは魚を2日後のグレージング実習のために冷凍しました。


【冷凍用のバットに入れ、ブリを甲板から船内へ搬入】


【女神大橋をくぐると、もうすぐ長崎港】


【船尾での着岸作業】


【船尾での着岸作業】

5月18日(5日目)
 朝から曇り。今日もラジオ体操から一日がスタートです。


 この日は水産関連施設を3箇所見学しました。出発前から雨が降り出しましたが、見学先が屋内であることが不幸中の幸いでした。見学1箇所目は長崎蒲鉾水産加工業共同組合。ここでは近くの新長崎漁港で水揚げされたエソやグチなどの白身魚、アジやイワシなどの赤身魚からすり身を作っています。説明を聞いた後、すり身製造工場、排水処理施設、冷凍庫を見学しました。

 2箇所目は国立研究開発法人水産総合研究センター西海区水産研究所。研究内容の説明では、まぐろ増養殖研究センターのセンター長から、昨年この研究所の陸上水槽で産卵が確認された、マグロの飼育研究について詳しいお話を伺うことができました。また、実験棟や貴重な標本も見せていただきました。

【西海区水産研究所にて研究内容紹介を聞いている様子】

 3箇所目は長崎県総合水産試験場。業務内容や食品加工に関する研究成果の紹介があった後、加工実験室や養殖生簀、クロレラ水槽、飼育実験棟などを見学しました。食品科学科では養殖生簀などを間近で見る機会がほとんどないため、学生たちは生簀の中を興味深そうに覗き込んでいました。

 施設を見学させて下さった長崎蒲鉾水産加工業共同組合、水産総合研究センター西海区水産研究所、長崎県総合水産試験場の皆様、本当にありがとうございました。

5月19日(火)6日目
 今日で長崎ともお別れです。午前10時、下関へ向けて出港しました。午後からはブリのグレージング作業。魚肉の酸化と乾燥(水分の蒸発)を防ぐために、凍ったブリを氷水に漬けて表面に氷衣(グレーズ)を作り、再度冷凍しました。これも魚の鮮度を保つための重要な大事な作業の一つです。


【グレージング作業の様子。ちなみに右の魚の背側の穴は、魚肉を分析用に採取した跡】

 夜はオプションでイカ釣りをさせてもらい、船での最後の夜を楽しみました。


【イカ釣りの様子。周囲にはたくさんのイカ釣り船が見えました】


【イカ釣りの様子。女子の方がたくさん釣ったようでした。】

5月20日(7日目)
 昼頃、予定通り下関に到着しました。今年は比較的天候にも恵まれ、船はほとんど揺れることもなく、船酔いをした学生も例年に比べて少なかったようです。

 最後になりましたが、この7日間は天鷹丸の乗組員の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。


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