下関フードテクノフェスタ、鼎談の司会に向けて
〜花岡教授に聞く〜


2010年5月24日 掲載

(インタビュア) 食品科学科主催の下関フードフェスタ2010の開催まで、残り2週間を切りました。今日は、このフェスタの中で開催される鼎談(ていだん)で司会を担当する花岡教授に話しを聞きます。

こんにちは。よろしくお願いします。
 
 (花岡) よろしくお願いします。

鼎談のタイトルは「所変われば、好みも変わる」で、副題が「魚食を考える」ですね。

 そうです。

鼎談というのは3人で話すことでしたっけ。


 ええ。昔、中国で煮炊きするのに使われていた鼎(かなえ)という器具がありまして、それが3本足であることから3人による座談会などを鼎談と呼ぶようです。

これ(下図)が鼎を示す象形文字ですね。



鼎の象形。鼎は、器具の名を表す他、「さらに新しくすること」など、いろいろな意味を持つ。

 はい。3本足で、左右に耳が付いています。今回の場合も、本校の鷲尾圭司理事長を含めた3名の方に座談会をお願いしております。

あとのお二人が加わって鼎の完成というわけですね。お二人は、学外の方達でしたね。

 そうです。お一人は、日本経済新聞特別編集委員の野瀬泰申氏です。この方は、当日の午前中に「魚の缶詰を煮ますか?」というタイトルで、ご講演もいただくことになっています。もうお一人は、西日本食文化研究会を主宰しておられる和仁皓明氏です。

先日、芝学科長にインタビューした時にお二人のプロフィールをご紹介いただきました。

 そうでしたね。読者の方達も、その記事(4月12日付、下関フードテクノフェスタについて、食品科学科長に聞く)をご参照下さい。あと、このフェスタのことについて、他にもいくつかの記事が掲載されていますので、未だ見ておられない方は、そちらも是非ご覧下さい。



写真-1. 鼎談の行われる講義棟(本校のHPから)

ところで、司会役とは言っても、先生が座談会に加わると4本足になってしまいますが…

 ご心配なく。私は座談には加わりません。私の役目は3名の方と客席とのパイプ役です。それに、4本足だと、1本でも長さが違うと不安定でガタガタしますしね。

なるほど。

 と言っても、このお話しがあった時には少し戸惑いました。何しろ、こういうタイプの司会をやったことがありませんので。

先生も、座談の内容と通じるような研究をしておられるのですか?

 いえ、「所変われば…」というより、むしろ、所が変わっても変わらないもの、つまり普遍的なものは何かと言うことを知りたくて研究しています。
 もっとも、考えてみれば、生体成分の組成や濃度が、魚肉や海藻の部位ごとにどう違うかについては研究してますね。あと、雌雄差、年齢差、さらに海域による差などいろいろ研究してきました。

海域差なんか、まさに「所変われば…」ですね。


 まさに、そうですね。でも、私たちの場合、まず、どうやったら「水産資源を持続的に利用できるか」という問いかけが存在します。この問いかけの先に現れた研究テーマに取り組みます。だから、私の関わっている研究にも、残念ながら食文化的背景はないですね。

そうすると、今回の鼎談の中身に余り興味は持っておられない?

 いえいえ、とんでもありません。非常に興味を持っております。例えば、魚を食品として見る場合にも、普段、考えてもいないような視点からのお話しが聞けると思います。今回は、わずか1時間というコンパクトな時間ですが、この1時間で、今後の自分の人生をより豊にできると思っています。

期待が大きいですね。

 ええ。できれば、客席でリラックスして拝聴したかったですねえ。

それは、お気の毒に…。 話は変わりますが、鼎談は大きな教室で行われるらしいですね。

 ええ、講義棟の43番教室です。本校で一番大きな教室で、講義棟の4階にあります。建物正面(写真-1)、左上の「水産大学校」と書かれた壁の裏側が、この教室の後側の壁に当たります。学年全部の学生が集まる授業を行う時の他、今回のようなイベントに使われています。



写真-2. 43番教室の内部

 この写真(写真-2)は、先週末に交通安全講習会が開かれた時のもので、学生が集まり始めた所です。フェスタ当日は、講演会や鼎談で、たくさんの方がここにいらっしゃることと思います。

天井にモニターらしきものが3つ付いていますね。

 ええモニターです。授業などで、黒板前にあるスクリーンに映像を映すと、後部の座席からは見え難いですからね。後部に座った場合にも、同じ映像がよく見えるように設置してあります。
 今回、この会場にお出でいただく皆様も、水産大学校の大教室ではどんな風に授業が行われているか、是非ご体感下さい。
 


写真-3. 43番教室のテラスから東を望む。学生の居住する建物がいくつか見えている。

 写真(写真-3)は、43番教室のテラスから東の方向を眺めたところです。これを撮った日の天候は悪く、あいにく景色も雨に煙っていました。こんな風に煙った景色も決して悪くないですけどね。

そうですね。でも、どうせなら当日快晴で、テラスから良い景色が見られると良いですね。さて、そろそろ時間ですが、最後に何かありますか。

 特にありませんが… そうそう、鼎談の鼎の字は、器具の名前を表すと共に「さらに新しくする」という意味も持つようです。

そうなんですか。それで?

 私たちも、水産業の役に立ちたいという気持ちを持っていますが、今回の鼎談でお話しいただく方達は、同時にもっと大きなものに関わっておられるようです。

つまり?

 つまり、日本でこれまで培われてきた音楽や文学や行事などの、芸術やそれに類するものを守るのと同じように、食文化を守ろうとしておられると推察しております。
 そして、単に守るだけでなく、それらを時代の流れにあわせて「さらに新しくする」ことも考えておられるのでしょう。私たちとしても、今度の鼎談がそれらを考える絶好の機会になるといいのですが。

分かりました。本日は、ありがとうございました。

 ありがとうございました。

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