通電加熱の研究紹介 〜福田裕特任教授に聞く〜
2010年5月20日 掲載
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こんにちは、今日は通電加熱研究のお話を聞かせてください。 福田先生:ありがとうございます。どこからお話をしましょうか。 |
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初めに、通電加熱について教えてください。 福田先生:下の図で説明しましょう。食品も電気ヒーターのニクロム線と同じように電気抵抗体です。ですから、電気を通すと食品自体が自己発熱します。これが通電加熱の原理です。ジュール加熱とも言いますね。 |
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ジュールの法則というのを学校で習った記憶があるのですが、関係はありますか? 福田先生:通電加熱はジュールさんが発見した原理に基づく技術なんですよ。 |
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通電加熱はどんな良い点があるのですか? 福田先生:自己発熱ですから、すごく速く加熱されます。例えば、お湯の中で蒲鉾を加熱すると中心温度が80℃以上になるのに15分以上もかかりますが、1分もあれば充分です。それに、お湯のような熱媒体が要らないので排水処理コストが安くなります。また、熱を伝えるのにかき回さなくても良いので、ジャムとか粘性の高いものでも、形を壊さないで加熱や殺菌ができます。それに、電気エネルギーが全部熱になるので、省エネです。 |
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この研究は福田先生を中心に全国の様々な機関が参加されているのですね。 福田先生:この研究は、農林水産省の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」として2009年から3年計画で始めました。水産大学校を中心に全国の大学、公設食品研究機関、民間企業の方たちと共同で研究を進めてます。ですから、全国にある色々な水産食品が研究テーマです。 |
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どんな研究テーマがありますか。 福田先生:最小のエネルギーで酵素を失活できるので、過剰な加熱が必要ありません。そこで「ソフトなイカ珍味やサケ冬葉」、「色の美しいホタテ干し貝柱」、「苦みの少ない凍結ウニ」、「美味しさが長持ちするイカ塩辛」などの開発を狙ってます。また、最小限の温度と時間で殺菌ができるので「日持ちが長い生イクラ・シラス干し・松前漬け」などの開発も目標です。 |
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夢のある研究ですね。 福田先生:従来の外部加熱と違って迅速で均一な自己発熱ですから、夢の加熱です。でもまだまだ、発展途上の研究ですから分からないこともいっぱいあります。成果を楽しみにしてください。 |
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福田先生、今日は夢の通電加熱のお話をありがとうござまいました。 |