下関フードテクノフェスタ、産民官学の事はじめ。食品科学科長に聞く。

2010年5月14日 掲載

 急遽「産民官学」の事初めとは、何やら賑々しいですね。
 ええ、今回の下関フードテクノフェスタの紹介で少し誤解があるようなので、急遽この題目を御願いしました。

 「産官学」にあえて民を入れたのはどう言う理由ですか?
 けして目新しいものではありません。民の役割が重要視されている産官民の地産地消運動が大きなうねりとなっていますから。ただこの運動を学と連携させる意識は余り強くないように思います。

 まどろっこしいですね。で何故、下関フードテクノフェスタのなかで「産民官学」と言われるのですか?
 「所変われば好みも変わる」を底流にした講演を産業振興の観点から聞けば、地域の水産加工食品の全国展開を図ることになり、食文化の観点から聞けば食育・地産地消に繋がります。つまり前者が外向きで、後者は内向き。
 後者は、グローバル化・フラット化のなかで販路を失った多品種少量型の漁業を地産地消運動のなかで支援しようと言うことになります。

 なるほど、今回のフェスタには2つの異なる目的を放り込んだ訳ですね。道理で混乱する訳だ。
 すいません。混乱させてしまって。食品科学科では、学生のボランテイア活動を介して地産地消運動を推進し、また他方で、技術開発で企業の全国展開を推進したいと考えています。

回廊、展示会場前

 地産地消運動における産民官学はわかりましたが、産業振興における民の役割が見えません。
 応援団だと言えば分かり易いと思います。全国展開を狙う野心的で有望な水産加工食品も、地元の人に広く認識してもらう方が、何かと有利なはずです。

 なるほど、それでフェスタと言う訳ですね。ワイワイガヤガヤと騒いでいる内にエネルギ?を貰って、全国展開を図ってしまおうと。

 そうですね。地産地消運動ほど民の役割は明確ではありませんが、産業振興における民の役割も重要だと思います。

展示会場ホール

 さて学生のボランテイアですが、どのようなことをするのですか?
 サービスラーニングと言います。大学で学んだことを使って街の問題解決に挑み、そのなかで学ぶ。つまり実践的学習です。

 ちょっと待ってください。未熟な学生が街の問題解決なんて出来る訳ないではありませんか。
 説明が必要ですね。具体的には「官民」による食育活動に参加し、そのなかで学ぶことを考えています。有力な戦力になるために、一定程度のスキルを身につけてから市民活動に参加させます。

 ほう、どんなスキルですか?

 気恥ずかしいですが、魚の調理です。さらには進んで郷土料理。食品科学科では、そのため、魚の調理を教えるコースをつくり、一定程度のスキルに達した学生に「水産食品士」の資格を与えてきました。

 つまり、小学生に魚の捌き方や衛生的な取り扱いを教えるとか。
 おっしゃる通りです。そのような作業を通じて、食育活動の戦力になり、その活動のなかで食に関する諸問題に触れて学んでくれれば良いなと思っています。

水産食品士の活躍

 そうだとすると、市や市民活動家との連携が必要ですね。
 ええ、フェスタには地産地消運動をしている人たちにも積極的に参加をよびかけています。またすでに下関市とは具体的な計画を練っています。

 いやいや今日は有り難うございました。

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