「下関くじら料理コンクール」見物記〜コンクール見学者の原田和樹教授に聞く

2009年10月5日 掲載

原田先生! 10月4日付けの山口新聞を見ましたよ〜。水産大学校食品科学科の4年生の皆さんが、10月3日に開催された「下関くじら料理コンクール」で特別賞を受賞したとのこと。記事は、それだけしか書いてありませんでしたが、何やら、原田先生が野次馬としてコンクールを見学したとの噂がありましたので、見学したのなら、詳細を教えて下さいよ〜。

はいはい、判りました。君が言っている噂は本当で、私はコンクールを見学して来ました。

では、インタビュー成立ですね。水産大学校食品科学科の学生さん達が受賞に至るまでの詳細を聞かせて下さい。

このコンクールは、正式タイトルが「家族がよろこぶ第1回下関くじら料理コンクール」というもので、主催が「下関くじら食文化を守る会」で、共催が「下関市」や「下関観光コンベンション協会」でした。
まず、コンクールに出したい料理のレシピを8月末に応募しまして、審査員による予選審査を経て、予選を通過した人が10月3日の「唐戸魚市場・魚食普及センター」で行われる決勝戦に出場権を得て、実際にその場で調理して競う仕組みでした。

なるほど〜。で、審査員のメンバーとは?


審査委員長が、下関くじら食文化を守る会会長の和仁晧明先生、その他、中尾友昭下関市長をはじめ合計8名の審査員でした。

コンクールの主旨は何ですか?

ポイントがいろいろあります。まず、第1回目で、今回、初めての催しであったこと。次は、クジラ食文化の継承とクジラ食の普及を目指しているために、絶対に食材としてクジラを使わなくてはいけないこと。三番目は、コンクールの冠に「家族がよろこぶ」とありますので、家庭料理であり、なおかつ、料理の材料費が安く済むことでした。

そのコンクールに水産大学校が関わった経緯は何ですか?


私は全くノータッチで何も知らなかったのですが(だから野次馬になってしまったのです(笑))、食品科学科4年生の女子学生7名の有志が、大学で配付されたコンクールの募集要項の用紙を見て応募したらしいのですね。完全に学生さん達の主体的な活動でした。本人達も言っていましたが、「まさか決勝に進めるとは思わなかった」とのことでした(笑)。今回、予選を通過したレシピは、「カリカリクジラと彩り野菜のサラダ〜関門の風をそえて〜」という洒落た名前のレシピでした。

そして、いよいよ決勝戦ですね。

決勝戦に選ばれたのは14チームでした。チームで臨んだのは水産大学校だけで、残りは個人の参加でした。年齢の上は主婦の方から下は高校生まで多岐にわたり、男性の方も一人決勝戦に選ばれていました。調理の実作の制限時間は2時間、予選を通過した水大校チーム7名のメンバーうち3名の精鋭をもって決勝戦に臨みました。私は、ただの見学者でしたので、他の決勝進出者の料理もつぶさに見ることができたのですが、正直、全体の料理のレベルは高く、水産大学校のチームが何らかの賞を頂くには厳しいだろうなあと思っていました。
決勝戦の風景(唐戸魚市場にて)
他に決勝戦で、特筆すべきことはありますか?

そうそう、レシピの中で、やはり水産大学校食品科学科が開発して商品化されている「くじら醤油」を使う部分があるのですね。そういうご縁があって、「くじら醤油」製造・販売元のヤマカ醤油(株)の社長さん、常務さん、営業部主任さんが応援に駆け付けて下さいました。
決勝に進んだ水産大学校食品科学科の学生さん達の発案料理「カリカリクジラと彩り野菜のサラダ〜関門の風をそえて〜」
そして、審査発表ですね。

結果は、君も新聞記事で知っての通り、水産大学校食品科学科の学生さん達は、見事、特別賞を受賞しました。全く、予想していなかっただけに、我がことのように嬉しかったですね。最後の和仁審査委員長の審査講評の中でも、水産大学校のレシピを取り上げ、「鯨をサラダに使うとは斬新なアイデだ」と、お褒めの言葉を頂きました。
表彰式のあと受賞した食品科学科の学生さん達の記念撮影
良かったですね〜。

受賞したレシピは、彼女達だけのものでなく、今後、鯨関係のイベントで広く活用されるそうです。そういう点でも、水産大学校食品科学科発信の料理のレシピが広く世間に知られることは嬉しいことですね。

この度は、おめでとうございました。そして、今日は、インタビューを有難うございました。

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