「食品加工調査」について担当の原田教授に聞く

2008年8月18日 掲載

今日は、食品科学科が毎年9月初旬に行う「食品加工調査」について、担当の原田和樹教授にインタビューしました。

Q:食品加工調査とは、どんな科目ですか?

回答:私達の学科では、附属の食品加工実習工場を持っていて、そこでは「食品加工実習」をT、U、Vに分けて行っています。Tは2年生の時に、「かまぼこ」の原料魚のエソをさばいて「すり身」を作り、そのすり身からかまぼこを作ります。この時に、食品工場の「ライン」という概念を学生さん達に大体、理解して貰います。Uは3年生の時に、食品衛生の概念を入れて「マグロの油漬け缶詰」を作ります。俗に言う「シーチキン」ですね。ここでは「HACCP」というアメリカNASAが発祥なのですが、日本語でいう「危害分析重要管理点」という衛生管理法を、実習を通して学びます。Vも3年生の時に、実際に自分達で加工した食品の健康増進機能を、ラットやマウスを使って調べます。


平成19年度の実習工場内での食品加工実習Uの風景


平成19年度の実習工場内での食品加工実習Uの風景


Q:なかなか、前フリが長くて、食品加工調査の話まで辿り付けませんね(笑)。


回答:スミマセン、もっと要領良く話します。そこで、実習はあくまでも実習である訳で、例えば、材料費や人件費など、コストパフォーマンスを無視している部分があるんですよ。そこで、実際に食品に携わる企業さんを訪問して、実際の企業の現場がどうなっているか、自分の目で確かめるというのが、「食品加工調査」なのです。


食品加工実習工場の内部


食品加工実習工場内の実習装置の一部


Q:インターンシップとは違うのですか?

回答:違います。インターンシップは、少人数が長い期間、決まった企業や官公庁で実習する訳ですが、食品加工調査は、10日間の間に、毎日、違う企業を訪問するんですよ。

Q:今年はどこを訪問するのですか?

回答:えーっとですね、(資料を見ながら)あまり遠くに行けませんので、大体、山口県か福岡県に絞っています。山口県では、「下関酒造(株)」、「やまぐち県酪乳業(株)」、明太子製造企業の「前田海産(株)」、かまぼこ製造企業の「(株)奥野寿久商店」、水産冷凍加工食品企業の「(株)シーサット」、加工残渣処理企業の「山陽ハイミール(株)」、福岡県では、調味食品企業の「一番食品(株)」です。企業だけでなく、今、流行のNPO法人でありエコやリサイクルを業務としている「環境みらい下関」や、門司にあります農林水産省管轄の独立行政法人「農林水産消費安全技術センター」も訪問します。

Q:毎年、同じ所を廻っているのですか?

回答:この「食品加工調査」、毎年、担当が変わるんですよ。今年は、私・原田と助教の和田律子先生が担当します。そして、訪問場所は、その時の担当の裁量に任されます。重なっている部分もありますが、違った所も訪問しますよ。

Q:担当していて、どんな苦労あるのですか?

回答:例えば、今年は50人以上の学生さんが参加します。3年前に担当した時は、15人の参加でしたから、随分と様変わりしたものです。こんなに人気になったのは、「水産食品士」資格の要件科目になったのも影響しているのでしょうが、やはり、最近の学生さんのモチベーションが上がったためと思います。
そうしますと、担当の私達としましては、「食品加工調査」の最中に、大学と企業さんとの往復なんかで、絶対に事故があってはならないので、人数が多いだけに、教員二人だけで目が行き届くか、すごく緊張しています。学生さん達は、遠足気分とまでは行かなくても、未知の所を訪問するわけですから、やはり楽しいものだと思います。ついつい、気持ちが緩んで・・・といった事もないとは言えません。「ほとけ」の原田先生も、「食品加工調査」の時は鬼教員に変身しますが(笑)、楽しく「食品加工調査」を終えたいと思います。

今日は、いろいろと有難うございました。何だか、私も「食品加工調査」に参加してみたくなりました。

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