オープンキャパスで紹介したいこと
2008年8月11日 掲載
今日は、芝学科長に、23、24日に開催されるオープンキャンパスについて聞きます。
----------23日から開かれるオープンキャンパスでは、何を重点的に紹介したいと思いますか?
まず設備です。研究用の高額機械や教育用の最新機器。東大に勝るとも劣らない内容をもっています。また学生さんが日常使う実験道具や、椅子、そして生活空間、これらについても整備を進めてきましたが、恐らく日本一でしょう。
設備に次いで紹介したいのが、学科の研究内容や教育方針、そして開放的な雰囲気です。
セミナー室 学生控え室
----------設備ですが、どんな高額機械があるのですか?
ICPマスや、ガスマス、液マス、DNAシークエンサー、ESR(電子スピン共鳴装置)、そしてTaqMan自動PCR測定装置です。つまり重金属の分析、有機化合物や遺伝子の構造決定、そしてそれらの定量分析装置です。食品科学科では有機化学から遺伝子の分野での最先端の研究が可能なことが判ると思います。
TaqMan自動PCR測定装置
-----------今のは化学や生物学の分野ですが、食品の分野ではどのような設備があるのですか?
残念ながら時間の関係でお見せ出来ないのですが、食品加工実習工場には加工機械の一式が揃っていますし、食品の食感を調べる動的粘弾性測定装置などがあります。
-----------研究内容では、どのようなことを紹介しますか?
学科に分かれてのコーナーで担当の教員が講座毎にパネルを使って説明します。安全学講座での薬剤耐性遺伝子が海洋環境中で微生物から微生物へ伝播する話や、機能学講座のアレルギー予防に有効な炭水化物・タンパク質複合体の合成、さらには加工利用学講座のクジラの有効利用に関する研究などがあります。他にヒ素や水銀の研究、無菌魚肉の研究、生理活性物質の化学合成や脂質や匂いの研究、機能性食品の消化吸収に関する研究、癌を予防する抗酸化物質の研究、魚の鮮度や冷凍保存の研究、マグロやフグの鮮度保持の研究などがあります。
---------随分、範囲が広いですね。
ええ、化学、生物、物理の基礎分野から水産物の利用に至るまでが、食品科学科で研究出来る内容です。
---------教育内容も同様に幅広いのですか。
大講義室で行う各学科紹介で説明しますが、研究分野と同じく、化学と生物と物理学、そして水産食品の加工方法や保存方法を学ぶことが出来ます。
---------やはり幅広いですね。
ええ、総合学科的な色彩が強いですね。食品、そして食を学ぼうとすると、こうなってしまいます。
----------今、食と言われましたね。
ええ、食品は食べ物、つまり物ですが、食は食べる行為です。食品科学科では、食べ物としての水産食品の安全性や化学性状、生理活性、そして加工・保存方法を学ぶと同時に、食べ物を食べると言う行為から捉えることを強く意識しています。
---------当たり前じゃないですか。
そう言われると困るのですが、日本の大学では食品や食に関する教育は、大きく分けて農学部での教育と家政学部や生活科学部などでの教育に分かれます。農学部は家政学部や生活科学部に比べ、食を教える要素が少ないように思います。水産大学校では食べたらどうなるか、つまり消化吸収過程や健康が増進されるメカニズムについて学ぶと同時に、実際に食べる行為を通じて、マーケティングのセンスや食品を開発するセンスを磨いて欲しいと考えています。これに関しては、食品科学科のホームページの水産食品士の記事を参照してください。
---------おやおや、マーケティングなどの言葉も飛び出し、ビジネスを意識されていますね。
ええ、私どもが学生さんに学んで欲しいのは机上の理論ではないのです。学んだ知識が実社会で要求される創意工夫に必ず活かされて欲しいと願っています。ですから、学んだ知識を食べると言う行為のなかで検証する教育システムを作っています。
宿泊オリエンテーションでの記念撮影
---------最後に開放的な雰囲気も紹介したい事にあげられましたが。
単純なことで、学生さんの能力を最大限に伸ばすには、リラックスしてもらうことが大事なのです。そのための開放的な雰囲気です。友人つくりも大事な要素です。これらのために、1年生早々の宿泊オリエンテーションや学生控え室、さらには相談事に対応するクラス担任制度などを設けています。また教員にはLook Down、つまり学生さんを見下ろすようなことは戒めてもらっています。
--------どうも有り難うございました。
食品科学科の建物