研究紹介 〜福田裕教授に聞く〜

2008年10月13日 

こんにちは、福田先生。今日は先生が「かまぼこ機能性食品の開発」を始められたと聞きましたので、お話を伺いに参りました。この研究のきっかけは?

ありがとうございます。なんでも混ぜることができ、食感を自在にコントロールできるかまぼこの加工技術に着目して、EPA・DHAを豊富に含む機能性食品を開発したいと思ったのがきっかけです。この基礎技術については特許を取得することができました。この特許の産業化に強い関心を持って頂いたのが、魚肉練り製品会社では最大手の一つであるフジミツ株式会社でした。3年以上もお互いに情報交換を重ね、経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業(農商工連携枠)に申請したところ、認められて2008年から開始することができました。

EPAは血栓病の予防に、DHAは脳機能の発達に効果があると健康雑誌にでていましたが、サンマに沢山含まれていますね。

そうですね。サンマの他にも、サバ、マグロなどの赤身魚の脂に豊富に含まれます。今日、機能性成分に関する情報で溢れていますが、EPA・DHAに関する研究は多方面から行われており、その効果は臨床医学的にも疫学的にも高い確度で証明されています。機能性成分の優等生です。

先生の機能性かまぼこを食べればサンマを食べたことになりますね。

その通りです。DHA・EPAの摂取が必要な重患者・老人・幼児にとって、焼いたサンマは嚥下性(えんげせい:食物の飲み下し易さ)や小骨の存在で障害となります。調理するにしても下処理に手間がかかり、施設・病院において敬遠され勝ちです。ムースやプリンのようカップ入りにすれば,お年寄りでもスプーンで魚の味が楽しめ、安全に手軽にDHA・EPAの摂取が可能となります。その他、一般の消費者も気軽に健康食品を楽しめるようなアイデアもあります。

ああ、だんだん先生の意図が分かってきました。具体的にはどんなイメージの食品ですか?

これはフジミツさんのアイデアですが、パンに塗る「機能性パテ」、
機能性パテ

オードブル食品のような「高タンパクDHA入りムース」、そして「お魚アイスクリーム」などがあります。
高タンパクDHA入りムース

お魚アイスクリーム

楽しそうですね。直ぐ食べてみたくなりました。

そうですね。実際には、粘性の非常に高い魚肉すり身に魚油を超微粒子化しなければ、滑らかな食感が作れないので、攪拌装置の改良、魚油の添加プログラムの開発、乳化促進剤の検討、及び機能性の評価、脂の安定性の確認など、沢山のハードルを越えなければなりません。この研究は松下教授、田中講師、福島助教、和田助教の協力を得て進めています。楽しみにして待っていてください。

それでは、楽しみにしております。本日は大変ありがとうござました。
魚油をすり身中に10μm以下の超微粒子化する乳化技術を開発する


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