• 　水産流通セミナー
  　４名の担当教員の一人として水産流通経営学科の専門科目「水産流通セミナー」を指導しています。学生の仕事は作文です。それを添削して「こうすれば文章が一層光るよ」と言うのですが、あまり光らないことも多く、それでも学生がその気になって（あるいはなったふりをして）くれているのが救いです。作品は『海がわりと好きセミナー』に公開しています。興味のある方は、下のボタンをクリックし下さい。

  海がわりと好きセミナー

  　

• 海洋水産文学研究
  　ドイツ中心に海や水に関する文学を研究しています。かつて森の国といわれたドイツの作家にとって、海はかなりよそよそしいものがあるのですが、逆に、よそよそしいがゆえに、海は未知の不気味な力をたたえた物質として表現されています。このようなイメージのありように興味を持っています。具体的には、ハウプトマンやトーマス・マンの航海体験（自ら船員であったコンラッドやメルヴィルと違って、あくまで船客として受動的に体験した海）や、トーマス・マンやシュトルムにおける陸から眺められた海、すなわち海辺や海水浴場の描写やイメージの特徴の研究です。
  （下記関連文献：論文10、11、12、13、16、25）

• トーマス・マン研究
  　身体論の観点から、ドイツの小説家トーマス・マン（1875−1955）の作品を研究しています。 　コンピュータが正しい計算をしても、そのとき電流は複雑に流れ、エネルギーも消費されているのでしょうが、（多分）ただそれだけのことです。でも人間の子供が計算をすると、彼（女）は体をくねらせたり、表情をいろいろ変えて苦しみ、正しい答えが出たときには喜びを感じ、それを体全体で表します。 　トーマス・マン＝タイプの小説家が人生の悩みを解決する方法も基本的に人間の子供と同じというのが、ぼくの身体論の立場です。つまり抽象された合理的な言葉ではなく、言葉と一体化した身体の所作によって思考するその歩みが、叙事的な語りへと積分されていくと考えています。つまり、語り＝身体・身振り、なのです。 　結果的に出た計算の答えが平凡なものだったとしても−−例えば、ちゃんと生きよう式の当たり前すぎるものだったとしても（人生とは結局そんなものですが）、その結論にいたるまでの身振り（＝経過）が重要なのです。
  （下記関連文献：論文１、２、３、４、５、６、７、９、10、14、15、16、17、18、20、21）

• 環境文学研究
  　自然科学や技術としてのエコロジーではなく、文学作品に表れたエコロジーを研究しています。それは意識的に表現されることもあるし、作品の背後に控えている場合もあります。そのようなエコロジーのなかでも生産的で可能性豊かなものは、自然を操作対象とみなして利用する西洋的・合理主義的な人間中心主義にたつものよりも、むしろ、自然や他の生物種に容易に感情移入する東洋的なアニミズムに近い形をしていると考えています。
  （下記関連文献：論文15、16、17、19、23、24、翻訳書８、９）

• ドイツ文学研究
  　上記以外のドイツの文学や文学研究の紹介や研究。
  （下記関連文献：翻訳書1〜７、10、書評・報告1〜6）

• その他
  　ネタがないときは、身近な素材を使って適当に作成します。
  （下記関連文献：論文22）

• 論　文
  １）後期トーマス・マンにおける精神と生の問題性−『掟』を中心に
  　　　　（1981年、ＳＴＵＦＥ第１号）
  ２）トーマス・マン文学における「良い子供部屋」−「夢想家」の問題
  　　　　（1983年、ＳＴＵＦＥ第３号）
  ３）トーマス・マン文学における夢想と遊びの意味−Ｈ・ハウクとＨ・ヴュスリングの研究にもとづいて
  　　　　（1985年、かいろす23号）
  ４）『ブッデンブローク家の人々』における史実の虚構の間
  　　　　（1988年、水産大学校研究報告23−2・3号）
  ５）トーマス・マンにおけるシラー受容−遊戯性の観点から
  　　　　（1992年、西日本ドイツ文学４号）
  ６）トーマス・マンと音楽（その１）−「耳の人」と「内的な知覚」の問題
  　　　　（1992年、かいろす30号）
  ７）トーマス・マンと音楽（その２）ヴァーグナー受容の一側面としての「叙事性」の問題−「共通感覚」の観点から
  　　　　（1993年、九州ドイツ文学７号）
  ８）シラーの『美的教育書簡』についての記号論的な考察−「遊戯衝動」の観点から見た美的教育
  　　　　（1995年、小泉進・白崎嘉明編『ゲーテ時代の諸相』郁文堂）
  ９）『魔の山』における身体性−身体描写と身体を扱ったモティーフ構造の分析
  　　　　（1995年、西日本ドイツ文学７号）
  10）トーマス・マンと海−作品構造の原理としての海水浴場
  　　　　（1996年、水産大学校研究報告44−4号）
  11）Ｇ・ハウプトマンの『アトランティス』における難破−海洋小説としての『アトランティス』
  　　　　（1997年、西日本ドイツ文学９号）
  12）Ｇ・ハウプトマンの小説『アトランティス』における二重の難破−その象徴的な意味
  　　　　（1997年、九州ドイツ文学11号）
  13）Ｇ・ハウプトマンの『アトランティス』にみられる通俗性−早すぎた「古典的現代小説」
  　　　　（1997年、上智大学ドイツ文学論集34号）
  14）身体としての『魔の山』
  　　　　（1998年、九州ドイツ文学12号）
  15）迷宮とマイナスたち−『ヴェニスに死す』とディオニュソス祭儀
  　　　　（1999年、かいろす37号）
  16）トーマス・マンの短編小説『主人と犬』と「環境文学」−「わたしのエコロジー」の確立に向けて
  　　（2002年、嶋崎啓・島村賢一・嶋崎順子・中島邦雄・島浦一博『自然との共生の夢−エコロジーとドイツ文学』鳥影社）
  17）トーマス・マンのショーペンハウアー受容
  　　　　（2002年、ショーペンハウアー研究７号）
  18）『トニオ・クレーゲル』における「平凡さ」の意味するもの−「手もと存在性」と「目の前存在性」
  　　　　（2003年、西日本ドイツ文学15号）
  19）ハンス・パーシェの『アフリカ人ルカンガ・ムカラのドイツ奥地への調査旅行』−エコロジーとナチズム
  　　　　（2004年、九州ドイツ文学18号）
  20）『トニオ・クレーゲル』における無意識−身体論探求の物語としての第６章以降
  　　　　（2004年、上智大学ドイツ文学論集41号）
  21）コミュニケーション探求の物語としての『トニオ・クレーゲル』−第６章冒頭の異稿をめぐって−
  　　　　（2005年、かいろす43号）
  22）解釈の複数性についての試論−学生による俳句鑑賞の解釈学−
  　　　　（2006年、かいろす44号）
  23）環境文学の系譜−H. D. ソロー、H. パーシェ、石牟礼道子−（１）
  　　　　（2007年、かいろす45号）
  24）環境文学の系譜−H. D. ソロー、H. パーシェ、石牟礼道子−（２）
  　　　　（2008年、かいろす46号）
  25）鯨・船・牡牛−文学作品に描かれた海上での死の祭儀−
  　　　　（2008年、上智大学ドイツ文学論集45号）
  26）トーマス・マンとアルフレート・ボイムラー−バッハオーフェン受容における屈折した軌跡−（1）
  　　　　（2009年、かいろす47号）
  27）トーマス・マンとアルフレート・ボイムラー−バッハオーフェン受容における屈折した軌跡−（２）
  　　　　（2010年、かいろす48号）
  

• 翻訳論文・翻訳書
  １）ウルリヒ・ナッセン「ハンス−ゲオルク・ガーダマーとユルゲン・ハーバーマス―解釈学、イデオロギー批判、ディスクルス」
  　　　　デリダ・ガーダマー研究会訳（1991年、かいろす29号）
  ２）ハンス−ゲオルク・ガーダマー「哲学と文学」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1992年、かいろす30号）
  ３）ペーター・ビュルガー「美的近代（モデルネ）の理論に寄せる断章」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1993年、かいろす31号）
  ４）ハンス−ゲオルク・ガーダマー、ディーター・ヘンリヒ、ヨヘン・ヘーリシュ（司会）「対談　人間に欠けたもの」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1995年、かいろす33号）
  ５）ペーター・v・ツィーマ「アンビヴァレンツと弁証法　ベンヤミンからバフチンまで―あるいはへ―ゲルの批判的継承者たち」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1996年、かいろす34号）
  ６）フリードリヒ・Ａ・キットラー「忘却」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1997年、かいろす35号）
  ７）ハンス・ローベルト・ヤウス「ルソーからアドルノにいたるモダニズムの文学的過程」
  　　　　ペルスペクティーヴェ研究会訳（1998年、かいろす36号）
  ８）ハンス・パーシェ『アフリカ人ルカンガ・ムカラのドイツ奥地への調査旅行』
  　　　　中島邦雄・島浦一博・島村賢一・嶋崎啓訳（2005年、鳥影社）
  ９）フリードリヒ・ゲオルク・ユンガー『技術の完成』
  　　　　北九州ゲルマニストの会訳（2008年、かいろす46号）
  10）テーオドール・シュトルム『ドッペルゲンガー』
  　　　　『シュトルム名作集 II』（2009年、三元社）所収 　

• 書評・報告
  １）W・リース『テロルとしての超越―F・カフカについての宗教哲学的研究』
  　　　　（1980年、上智大学ドイツ文学論集17号）
  ２）H・コープマン『ドイツにおける古典的現代小説　トーマス・マン−デープリン−ブロッホ』
  　　　　（1984年、上智大学ドイツ文学論集21号）
  ３）（海外文献紹介）文芸学と深層心理学
  　　　　（1989年、上智大学ドイツ文学論集26号）
  ４）（新刊紹介）Peter von Matt: Liebesverrat. Die Treulosen in der Literatur.
  　　　　（1991年、ドイツ文学87号）
  ５）ペーター・マツセク教授講演会報告
  　　　　（2006年、西日本ドイツ文学18号）
  ６）立花健吾・佐々木博康編『カフカ初期作品論集』
  　　　　（2008年、かいろす46号）
  　

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