水大歳時記(平成十一年度)

  春 の 部

       

  各地から方言集う春の大学(まち)

  春の日の意識のうすれる講義かな

  春なのに秋と同様 腹がへる

  春ぶとり 夏も太って 秋ぶとり

「春濤をのぞく絶壁に誘われ」(秋元不死男)に思う   我思う 不死男なる人何者か     春を詠むには似合わぬ名前        俳句よりも名前の奇抜さが目を引いた。「林火」          もなかなか。

  春がきて アッという間に春は行く

  春が来た夏が到来秋をこう

  天と地と間に生まれ春忍者

  春になり晴れた日増えて釣り行きたい

  二年目も何もしないで過ぎる春

  春なので薄着をしたら風邪ひいた

  ドラエモンいつまでやるの春映画

  春らんまん 「バカ湯」にはしゃぐ えみし会        「えみし会」とは滄溟寮東北・北海道出身者会

      寒の明け

  寒の明けこれからめぐる春の予感

     麗か(うらら)

  春うらら山本リンダうらうらら

  春うららあっというまに22日になる

  春うらら魚の漢字は難しい

  春うらら彼女のひざで夢まくら      浮雲流れる日曜の昼下がり

       遅日

  夕方の日の明るさに春を感じる

 

       夏近し

  春の日の希望ふくらむ夏近し      水泳求め力みなぎる

  春になり気温が上がり薄着だな      夏が待ち通しシースルーライン

       春の日

  陽をあびて光合成でもしたい気分

    ここちよい春の日ざしにすい込まれ、      ゆめの世界にいきつくかな

  春の日でひなたぼっこが気持ちいい

  昼下がり ひなたぼっこで何思う

  春の日に窓際でねて汗まみれ

  春の午後ぽかぽかしてて ぬむりんこ

  ねむければ 目刺たべては目をさませ

  頬なでる風もゆるみし春の日に      七つ曲がりを単車で駆ける

 

    春光(しゅんこう)

  あたたかく我身をつかむ春光(はるひかり)

  春の光で洗濯物が乾きやすい

     春風、春の風

  春の風 さむさ感じてあたたかし

  海岸で風になりたくバイク駆る

  カブに乗り桜も散らない風になる

  自転車にはねられ転がる我一人      春風にしみる心の傷あと

  春の風おいしいものが食べたいが      彼女もほしい今日この頃

  春の風 中途半端できらいです      なんといっても夏がいい

  追う月に春磯風の帰り道

  いそかぜは ひかりをみずに おきへいく

  春の風いろいろ募るいやな風

  春の風とても強くて波激し

  まだ寒き黄砂まじりの春の風

  春の風黄砂を運ぶ異国から

  ふとそっと我が頬なでる春風かな

  そよ風に一筋落ちる涙かな

       春一番

  我(わが)髪を大きく乱す春一番

  春一番 吹く風強い下関

  吉見には春一番が何度くる

  春一番ばっちりワックスなのに台無し

     春雨、春の雨

  春雨で つりにいけない週末か

七曲がりの思い出   雨の中 自転車こいで 海の中

      霞、春霞

  春霞 淡紅(うすべに)色の花さくや      我思うなり酒のみたし

       春の川

  吉見来て 裸足で川中はいる子 初めて見

  最上川 聞いたことはあるけれど      場所を知ったのは つい最近

         春の海

  花が散り水面に舞う春の海

  春の海 しおの流れに浜の貝

  春の海 暖かそうでも泳げない

  春の海 魚がいるのに寒くて潜れぬ

    いざ行かん ミズイカ求め春の海

  春の海波間をかける魚たち

  春の海 カッターエイヤー全日本

  春の海 吉見の風に大暴れ

  春の海 遠くを見ればうつくしい

  春の海のどかなようで波高し

  春の海ウミウミウミウミHARUノUMI      うみウミウミウミ葉流野宇美だー

  春の海 桜が散ると梅雨の海

  春の海もうすぐ泳ぐ夏の海

    春の海三カ月後は夏の海

    春の海 砂浜かけるアホうさぎ

     さわやかな風を生み出す春の海

  日本の音ただよわす春の海

  春の海 濁りまだあり 我が心

  朝の海 そんな時間に起きれない

  夜の海坊さんの声きこえるよ

     春の波、春濤

  春の波 まだまだくるよ春の波

  春なのに白波立ってまだ寒い

  荒波がおそうおそうよ 191(いちきゅういち)

「春濤をのぞく絶壁に誘われ」(秋元不死男)に思う   こわいけど絶壁を見たくなったりする

  波間から見えるは明日の朝月

  春の海よせては返す波々に      君 思うはかなさよ

     大試験、受験

  春なのに受験失敗 桜散る

二浪生の妹へ   妹よ 東大失敗まだやるか

      入学、新入生

  水大に来たはいいけど釣りもせず

  新入生桜を見て何思う

  期待よせ入学式に花が咲く

  入学式桜の香りでつつまれる

  ちるさくら ふんで思うは入学式

  新入生 去年は俺も新入生

  新入生やるきないなら いんでねろ

  なにもかも初々しかった一年前

  昨年の心入れかえ二年生      だけど今日も またねたよ

      遠足

  萩歩行 文明高し悟りける        先日萩から吉見まで100kmを走った(歩行)。その         大変さを知ると同時に、文明(車)のありがたさがわ         かった。

   目刺、頬刺(ほほざし)

  いいちこに目刺さかなで愛語る

  目刺し焼く そのまま忘れて黒目刺

  目刺買い今夜の食事は三匹焼く

  朝食は目刺とご飯とお味噌汁

  目刺をも買えない僕は貧乏だ

  目刺がね めざした所は めざましの中

  目刺より自分は柳葉魚(ししゃも)の方が好き

  朝食に眠い目こすって目刺食う

       磯遊び

  春風に誘われ素足で海に入(い)り       あまりのつめたさ とびあがる

      汐干狩り

  春の海かなり冷たい潮干狩り        小学生の時はいつも春のバス旅行は潮干狩りで、          とても辛かった。

       花見

  おばちゃんが花見の帰りに枝もち帰り

  春が来て花見弁当桜餅      色気のなさにむなしさよぎる

  桜見て浮かぬ顔で眺めてる

  だんご買い用意をしたのに桜散る

  お花見が あいたたたたた 雨桜

 

      野球開幕

  ドラゴンズ今年は強い優勝だ

  勝つほどに調子を上げるドラゴンズ

      春眠、春睡

  こもれびに うとうとねてて汗びっしょり

  プリントが ねてたおかげでヨレヨレだ

  あたたかい春の日ざしでねむるオレ

  ポカポカと春の季節に睡魔くる

  俳句読む先生動く みぎひだり      振り子のようで まぶたくっつく

春愁(しゅんしゅう)、春愁(うれ)ひ

  春愁ひ男の部活に女子カッター

  春愁や春のG1(ジーワン)当たらない

  春愁や部屋紹介で大取りだ

  春憂ひ もうすぐおわる部屋紹介

  花の香にまじりて匂う海の香り      春を愁いてたつかおりぞ

     バレンタイン

  バレンタインチョコ選びに1時間

       燕(つばめ)

  家の屋根 つばめが家を つくったさ

     栄螺(さざえ)

  潜っててサザエと思いとったけど      大きなハサミのヤドカリ ショック

磯巾着(いそぎんちゃく)、いしぼたん

  あくびかな ゆらゆら揺れるいそぎんちゃく

  幸せは待っても来ないよ いしぼたん

  磯巾着ひとつかれんな花咲かす

  いそぎんちゃく もじゃもじゃで すきだ

  いそぎんちゃく ちこくしそうで いそぎんちゃく

  願わくばイソギンチャクとねてみたい

  磯巾着いつか飼いたいと思うけれど        エサを考えると実行できず

  裏海岸行くと一人のいそぎんちゃく

  いしぼたん咲いたは咲いたでかわいいな

     鬱金花、壇香梅

  講堂に白く咲く花 鬱金(うこん)なり

        初桜、初花

  初桜 遠き昔に公園で

      桜、山桜

  さくらさく オレの恋はまださかん

  今日もまた桜を見ずに下関

  山桜 水大裏では風情なし

  青い海に桜が映える 日本海だー

私の気持ちが−−   咲かぬまま桜見上げる春重ね      ぼくのままで どこまでいこう

  高砂の尾上の桜咲きにけり…        そのあとはちょっと覚えていません。出身が高砂高         校なので一時期覚えていました。

     落花、花吹雪

  花びらが舞い降り積もる春の道

  ふき荒れて カコをも散らす花吹雪

  花びらや 思い出とともに散りにけり

  花散るや 僕のこころも くだけちる

  桜散りエサと間違い食べる鯉

  さくら散る    熱帯魚よ      たった一日    我のサイフも      共に散りけり

  桜散る 雨かのように桜散る

  春競馬 桜ちるよう馬券ちる

  出おくれで桜ちりゆくスティンガー

  いいじゃない スタミナやろう天皇賞

  春風の吹きて舞い散る山桜      かすみて空に消えてゆくのか

   菫、三色菫、パンジー

  路地行けば あざけり笑う パンジーのむれ

     土筆(つくし)

  ぶひぶひと吹く風聞けば春土筆

       授業

  新学期 丸和の歌聞き ああ吉見

  水大の授業つまらんああ毎日

  前の3人 背がでかくて黒板見えぬ

  授業中 話を聞かずに読書中

  仕事中 勉強中に 工事中      荒井注は「なんだバカヤロー」

  ドイツ語と二股かけて文学1

  古賀ちゃんの授業あるたびエスパー伊藤

  杉本の名前間違え ふじもとに

      学生生活

  東京にあこがれ勉強 だが吉見

  おまえらと いっかつするな 教授陣

  ついしおち かのじょもいないが いいてんき

  今日がすぎ明日がすぎれば休みなり

  水大の色もう存す2回生かな

  悪いけど新歓コンパめんどうだ      やりたいならば自分でやりな

花粉症患者にとって、この時期は地獄   流れ出る涙止まらぬ花粉症

  腹がへる れいぞう庫には何もない

  食生活 飯が主菜になりにけり

  春巻きははたして春の季語なのか

  七曲り原付飛ばして七転び

  車買い 助手席に乗せる彼女なし

  車入るむんむん熱気具合い悪か

  将来のパチプロめざし通い詰め

  家のまえ 飯をくれくれ ねこニャーニャー

  ノラ猫に餌を与えりゃ おきみやげ        おきみやげとはウンコのこと。

  蓋井島 猫がいっぱいネコの島      油断してると食べ物がなし

    はげ頭 昼間に見ると太陽二つ      夜になると月になりけり

  向かいの人酒を片手に愛語る

  選挙権 二十歳になっても行く気なし      誰になっても同じだろうか

       

  我なやむ 部屋子に対し柔か剛か

  寮行事早く終われとのぞむのは      一年だけの のぞみなし

寮の一年生が僕を避けることに感じて   新入生どうして僕から逃げるかな

  花の下 ただひたすらに「オスオス」と      疑いもせず なされるがまま         ある日の寮生の句

  春くると寮のまえからオッスオス

  寮の朝オスオスオスで目がさめる

  滄溟寮 1・2年生奴隷です        1・2年生はどれいなみのあつかいをうける

       ブー

「ブー」はペットの名前   ブー寝てる まわりも寝てる また寝てる

  ブー起きたキョロキョロしたら寝てもうた

  文学1の 食事の後の寝顔ブー

  Cool Mint Cool Running Cool Milk

  野洲(やす)やせる今日は安いよ前の部屋

  やす遊ぼう まる遊ぼう ギャロップ・レーサー

  ひまだったら みんなで行こう前の部屋

  ごめんなさい もうやめとくね でも寝てる

  寝てる人 数えてみると42人        もうすぐ寝る人約8人

  珍魚なのにだれも驚かない      一人でもいいさ

  「大地の子」妹と再会 真夜中の雲

  たいやきくん 逃げておくんな 釣れておくんな

       釣り

  つりきらい やれつりきらい えさくさい

いつも3mの鯛を求めている漢の句   磯釣りで百センチの鯛リリースし      何枚上げてもむなしいだけだ

       

  強い気持ち 抑えきれない心の状態

「島々に灯をともしけり春の海」(正岡子規)にならって   男心に火をともしけり春の娘

  荒波が行く手をはばむ今日もあえぬ

  なんでハートがないのですか      僕は愛に満ちているのに               (編者注)「ハート」のところは本当はハート          マークなのですが、画面上に出ないため、文字          としました

  となりの娘(こ)ぜったいすきだぜ俺のこと

  フウアンの彼女はなぜに辛いのか          フウアンはあだ名。友達は彼女がほしいほしい、          彼女がどうしてできないのかと言っているが、          出来た彼女の顔は‥‥人間は顔ではない

       人生

   見えないものを見ようとする誤解    すべて誤解だ

 幸せの鐘が鳴り響き    その中で僕はただ      悲しいふりをする

       

      犬

   犬がいた    ねそべっていた    ちかづくと    おきあがった    とおりすぎると    また ねそべった

     エッセイ

大学に来てもう一年たち、大学生活にも慣れてきた。 人生は長いが、ムダな時間をつくりたくない。 今年二十歳になる私は、人生の目標となる夢をもちた い。   ああ桜よ もう一年もたったのか

  ちる桜海あをければ海へちる (高屋窓秋) 今、自分は大きな壁に直面しています。故に、桜は散 るべきところに散ってほしい。「あを」に限らず大き な海であってほしい。思いどおりにならない歯がゆさ ですか、私事ですが‥‥

山陰線に乗っていると梅大生か水大生かだいたいわか る。梅大生は梅光の名の通り明るくさわやかな感じ、 水大生は海の香り、魚臭い感じ!がする。   山陰線 梅の光に海かげる