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海洋機械工学科の学生が学会にて奨励賞を受賞しました

こんにちわ! 海洋機械工学科で教員をしている徳永といいます。

海洋機械工学科の学生(大野さん)が2022年10月にオンラインで開催された第73回電気・情報関連学会中国支部連合大会での論文発表において、「2022年度電子情報通信学会中国支部連合大会奨励賞」を受賞しました。

本発表は大野さんが私(德永)の研究室で研究した内容を発表したものです。研究の内容は「畳み込みニューラルネットワークを用いた混獲魚の魚種判別」です。ちょっとだけ研究についてお話ししたいと思います。

沖合底引き網漁業では沢山の水産物が漁獲されるわけですが、獲れた魚の中には、必要としない水産物も網に入っちゃいます。例えば「稚魚」です。稚魚は市場価値がないので網に入っても破棄されます。稚魚だけでなく利用価値の少ない魚たちはすべて市場価値がないために破棄されてしまいます。そのような市場価値のない多くの魚が混ざった状態で漁獲されるわけですね。このような水産物を「混獲魚」と呼んでいます。

獲ったのに捨てられちゃうんですよ!? とてももったいないですよね。獲れてしまったものを何とか有効利用させたい、という想いから水産大学校食品科学科の和田先生が「すり身」としての利用を検討し、研究をしています。しかし混獲魚は、様々な水産物が混ざっているので、中にはすり身として適さない肉質だったり、早く処理をしないと内臓内の消化酵素によってすり身として固まらない状態になったりする魚もいます。そのため、すり身にする前に、「この魚は〇〇という魚種だからこのまますり身にして大丈夫、この魚は△△という魚種だからすり身には適さない、この魚は□□だからすり身にするなら処理をしないといけない・・・」というように、魚種を判別してあげないといけないそうです。でも何百匹といる混獲魚をいちいち目で判断するのは大変です。しかも形が似ているけど魚種が違う魚がたくさんいます。漁獲の時期で種類も様々です。素人にその判別はとても難しいです。すぐに判断もできません。この魚種判別がスムーズにできれば加工製品としての価値も出てくるそうです。

そこで、私の研究室で、人工知能を利用してベルトコンベアで流れてくる混獲魚を自動的に、尚且つスピーディーに魚種判別するシステムができたらいいなあ、と思って研究に取り組むこととなりました。

今回の受賞はその研究についての研究発表をしたわけです。大野さんは水産大学校の研究科にも残り、引き続きこの研究を続け判別する装置の開発などもやっていく予定です。判別精度は今のところ95%程度です。高いように見えますが判別の間違いが多いですし、検討すべき点もまだ多々ありますので、大野さんの今後の研究によってそれらの課題がひとつひとつクリアされていくことを期待しています。

以上、ご報告でした!

水産大学校の海洋機械工学科って「機械」という名前がついているけど、人工知能の研究や人工知能を利用した研究はしているんですよ。これからも研究の紹介したいと思います。

受賞した大野さん